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堀内誠一『どうくつをたんけんする』

 この絵本は、福音館書店の「たくさんのふしぎ傑作集」の1冊。テーマは言うまでもなく洞窟です。おそらくは秋吉台を舞台に、洞窟のなかがどうなっているのか、描き出されていきます。

 不思議なかたちの様々な鍾乳石や石筍、洞窟内の珍しい生き物の生態など、「へぇー」と引き込まれます。また、鍾乳洞がどのようにして出来上がっていったのか、カルスト台地の石灰岩は大昔何であったのか、など数億年もの歴史が科学的に説明されており、次の一節にはまさに納得です。

どうくつは、地球の歴史、生物、人間の歴史、水や岩石の性質など、いろいろなことを教えてくれるのだよ

 世界各地の様々な洞窟についても、イラスト付きで解説があって、これも初めて知ることばかり。子どもはもちろん、大人にとっても、かなり興味深いのではないかと思います。うちの子どもは、このページが一番気になったみたいです。

 一応、この絵本は科学絵本に分類されるのでしょうが、それだけではありません。加えて、楽しいのは、タイトルにあるように「たんけん」の醍醐味が盛り込まれているところ。

 とくに冒頭の10ページ。普通のルートではなく、「ちょっと変わったコース」から鍾乳洞に入っていくんですね。狭く暗い洞窟をときには這うように進んでいく主人公たち。下には冷たい川が流れ、ところどころ滝が落ちています。なんとなくワクワクしてくるような導入です。

 他にも、洞窟探検のケービングの技術を解説したページもありました。そして、ラストページ。見ようによってはほの暗くスリリングで良いです。

 裏表紙の見返しには日本地図が載っており、石灰岩地帯と主な鍾乳洞が書き込まれていました。今度、機会があったら、ぜひ、近場の鍾乳洞に子どもと一緒に行ってみたいなと思いました。

▼堀内誠一『どうくつをたんけんする』福音館書店、1985年、[印刷:精興社、製本:大村製本]