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すくすく子育て(NHK教育):絵本との出会い

 NHK教育で日曜の午後6時から放送されている「すくすく子育て」。番組のウェブサイトもあります。1月4日のテーマは「絵本との出会い」でした。テーマがテーマなので「これはちゃんと見たいな」と思い、ビデオに録画。ようやく見ることができました。

 今回は0歳児から赤ちゃんと絵本を楽しもうという主旨で、なかなかおもしろい内容だったのですが、「そんなこと言っていいのか?」と疑問に思うところもありました。

 とりあえず、役に立つ情報から……

 まず、私もはじめて知ったのですが、ブックスタートという取り組みが全国各地でおこなわれているそうです。これは0歳児健診のときに赤ちゃんと保護者に絵本を配布していく運動で、2003年12月現在で全国の計573の自治体がすでに実施しているとのこと。長野県茅野市では、出生届を提出するときに絵本を1冊プレゼントするといった取り組みもされているそうです。

 このブックスタート、もともとは1992年にイギリスのバーミンガムではじまり、2001年から日本でも本格的に取り組みがはじまったとのことです。ブックスタートをサポートする団体として、NPOブックスタート支援センターも2001年に設立されています。このNPOのウェブサイトに詳しい説明があります。

 それから、番組では、言葉がまだ分からない0歳児でも十分絵本を楽しめることがいろいろと説明されていました。読み聞かせのコツや、0歳児におすすめの絵本も紹介されていて、これは役立ちます。

 「すくすく子育て」のウェブサイトにも今回の内容の要約がありますが、おすすめ絵本については掲載されていないので、参考のため、以下に書誌情報を挙げておきます。

  • 神沢利子 文/柳生弦一郎 絵『たまごのあかちゃん』福音館書店、1993年、定価780円
  • 真砂秀朗『リズム』ミキハウス、1990年、定価(本体 826円+税)
  • 谷川俊太郎 作/元永定正 絵『もこ もこもこ』文研出版、1995年、定価(本体 1,243円+税)
  • 林明子『おつきさま こんばんは』福音館書店、1986年、定価735円
  • 中川ひろたか 文/100%Orange 絵『スプーンさん』ブロンズ新社、2003年、定価(本体 850円+税)
  • 中川ひろたか 文/100%Orange 絵『コップちゃん』ブロンズ新社、2003年、定価(本体 850円+税)

 0歳児のおすすめ絵本については、上記のNPOブックスタート支援センターのウェブサイトでもたくさん紹介されていました。

 で、私がこの番組で疑問に思ったことなのですが、「ママが読むとよい本」と「パパが読むとよい本」があると説明していたところです。どうやら声が高いが低いかで読み聞かせをしている赤ちゃんの反応が違うということで、「ママが読むとよい本=楽しい、メルヘンなど」「パパが読むとよい本=恐い、冒険など」とされています。これは、京都大学大学院助教授の正高信男さんの研究だそうで、ゲストの東京大学大学院助教授の秋田喜代美さんがそのように紹介していました。

 たしかに、赤ちゃんの発汗作用など科学的なデータの裏付けがあるようですが、でもなあ、なんかおかしくないですか? 問題になっているのは、声が高いか低いかであって、それは「ママ/パパ」とは関係ないんじゃないかなあ。女性にも声の低い人はいるし、男性にも声の高い人はいるわけで、それを「ママ/パパ」に簡単に割り振っていいんだろうか。男性だろうが女性だろうが、内容に応じて読み聞かせの声の表現を工夫すればいいだけでは? この図式、ちょっと問題ありと思います。

 もちろん、番組としては、「絵本が苦手なパパもぜひ絵本の読み聞かせをして下さいね」という主旨なんでしょうが、それを単純に「ママ/パパ」の役割分担につなげていいんでしょうか?

 男性だって「楽しい、メルヘンなど」の絵本を読んでいいし、女性だって「恐い、冒険など」の絵本を読んでいい。こんな窮屈で不自由な読み聞かせはしたくないし、自分の子どもにもそんなつまらないことを教えたくないので、私としては断固、上記の図式に反対です。絵本の読み聞かせって、もっと自由で楽しいものだと思うのですが……