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たむらしげる『ひいらぎはかせのバイキンたいじ』

 たむらさんの「ひいらぎはかせ」シリーズの1冊。今回は、恐怖(?)の「ハリガネバイキン」に感染した、まちのみんなを「ひいらぎはかせ」が救います。

 この「ハリガネバイキン」の症状(?)が実におもしろい。人も動物も、生きていて動くものはすべて、ハリガネみたいに、ごく細になってしまうのです。人間であろうが、イヌであろうが、ゾウであろうが、細い線と曲線だけに省略されています。厚みがまったくなくなってしまい、でも、線の全体の形状だけでそれぞれの生き物が表現され、非常に新鮮。軽やかで、なんだか視覚的な楽しさがあります。カバーに掲載された、たむらさんのエッセイでは「物の形を抽象化する」と記されていました。なるほどなあ。

 もちろん、そのように抽象化されるといっても、たむらさんならではの楽しい描写はいっぱいです。細くなると軽くなってしまうとか、重いものが持てなくなるとか、割と合理的(?)に描かれていて、それがまたおもしろいです。

 なかでも一番おかしいのは、「ひいらぎはかせ」が「ハリガネバイキン」をどうやって退治するか。現実にはありえない解決策なんですが、でも、一種の言葉遊びとも言えそうです。

 うちの子どもは、ロボットが「ハリガネバイキン」に罹らないことに感心していました。とくに説明があるわけではないのですが、うちの子ども、さすがによく見ています(親ばか^^;)。

▼たむらしげる『ひいらぎはかせのバイキンたいじ』フレーベル館、1990年