タイトルの通り、「ブルンミ」の誕生日をみんなでお祝いする物語……。
のはずなんですが、でも、読みようによっては、少しブラックな趣きがあります。だってさー、なんで、そんなに「ひみつ」「ひみつ」なのよ? どうして「ブルンミ」の鼻先で「バターン」とドアを閉めちゃうわけよ? 「ブルンミ」を泣かすなよー!
ラストの一文では、「ブルンミ」はこんなふうに言っています。
そして ブルンミの たんじょうびを みんなでたのしく すごしました。
ああ なんてすてきなんだろう! ありがとう アンニパンニ!――
けなげな「ブルンミ」……。でも、「ブルンミ」、君はだまされていると思うよ……(なんちゃって^^;)。
いやまあ、マレーク・ベロニカさんの絵は明るい色彩とセンスのよい造形で、とてもおしゃれですし、ハッピーエンドであることは間違いないのですが、少々意地悪な物語にも読めてしまうのです。
やっぱり考えすぎでしょうか? こちらの性格が歪んでいるからかなあ。素直に読めない自分が悪いのかしらん。
とはいえ、ほんの少しの翳りがあるところも、マレーク・ベロニカさんの絵本の魅力なのかもしれないなと思いました(ちょっと無理があるかな?)。
▼マレーク・ベロニカ/羽仁協子 訳『ブルンミのたんじょうび』風濤社、2003年、[印刷:吉原印刷株式会社、製本:榎本製本株式会社、装幀・組版:文京図案室]