ユーリー・ノルシュテイン/セルゲイ・コズロフ/フランチェスカ・ヤルブーソヴァ『きりのなかのはりねずみ』

 今日は1冊。日が沈んだあと「こぐま」の家に出かけた「はりねずみ」、深い霧のなかでいろいろな生き物に出会うという物語。
 絵は非常に幻想的。霧の粒子の一つ一つが画面に定着しているかのようです。まわりがよく見えない霧のなか、しかも夜。向こうからやってくる動物たちは大きな顔だけ出して消えていき、あるいは声だけが遠くから聞こえてきます。正体不明なのは、途中で川に落ちた「はりねずみ」を助けるなまず(?)も同じ。ぼんやりとした輪郭と目だけが川面に映ります。なんとも不思議な雰囲気。「はりねずみ」は不安そうにつねに目を大きく見開いていて、霧のなかの所在なさが伝わってきます。
 一つ謎なのは「みみずく」。「はりねずみ」のあとをこっそりつけていくのですが、霧のなかで一度姿を現したかと思うとすぐにいなくなります。なんだろう。実は「はりねずみ」と友だちになりたかったのだろうか。
 うちの子どもは、「はりねずみ」が「かたつむり」と出会った画面に注目。

こんどは、すぐそばで「ハーッ、ハーッ!」と、
大きな いきづかいが きこえました。
きりのなかに、ぞうでも いるのでしょうか?
はりねずみは こわくなって、そこを はなれました。

という文が付いているのですが、絵をよく見ると、大きな動物の影がうっすらと「はりねずみ」の背後に描かれています。「ここにいるねえ」とうちの子ども。
 それから、「はりねずみ」は霧のなかに浮かぶ「しろいうま」に誘われるようにして霧に入っていきます。「はりねずみ」は「しろうまさん、きりのなかで おぼれないかしら?」と心配しているのですが、うちの子どもの疑問は「霧って海みたいなものなの?」。
 作者のユーリー・ノルシュテインさんはアニメーション作家。以前読んだ『きつねとうさぎ』と同じく、この『きりのなかのはりずねみ』ももとはアニメーションとのこと。絵本の表現とはだいぶ違うかもしれませんね。機会があったらぜひ見てみたいです。この絵本、おすすめです。
▼ユーリー・ノルシュテイン、セルゲイ・コズロフ 作/フランチェスカ・ヤルブーソヴァ 絵/児島宏子 訳『きりのなかのはりねずみ』福音館書店、2000年

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