今日は1冊。この絵本は「日本の民話えほん」シリーズの1冊。お盆には漁をしない決まりになっているのに海に出ていった若者たち。たくさんの魚を捕るのですが、突然現れた海坊主に襲われます。この海坊主、かなり恐いです。黒々とした顔と体、ほとんどのっぺらぼうで小さな目と大きな赤い口、まるでタコかヘビのように体と手がぐーんと伸びてきます。船に乗っている若者たちは大混乱。必死で逃げるのですがまったくかないません。真っ青になってふるえるばかり。とはいえ、なんとなくユーモラスなところがあって、そこも魅力的。
絵は墨のような色合いを使ったダイナミックな筆致が美しい。表紙には青の題字に同じく真っ青な顔の若者たち、めくった見返しは濃い青で波の模様が描かれています。本文中の海も黒と青を使って描かれており、それが全体の共通したトーンになっています。
▼岩崎京子 文/村上豊 画『うみぼうず』教育画劇、2000年