「日本の民話えほん」シリーズの1冊。年を取った「おかあ」と「むすこ」の貧しい二人暮らし。「おかあ」がかぜをひいて寝込んでしまい、「むすこ」は欲張りでけちん坊の「ごんぞうおじ」にお金を借りに行きますが、当然、貸してくれません。途方に暮れる「むすこ」の前に「しろい きものを きた じいさま」が現れ、転んだ数だけ小判が出るという下駄をくれます。うわさを聞きつけた「ごんぞうおじ」は無理矢理その下駄を借りていき、自分でも転んで小判をざくざく出すのですが……という物語。
表紙にもなっている「ごんぞうおじ」がなかなか強烈。いかにも強欲そうな顔と態度です。実は小判を出すたびにどんどん背が縮んでいくのですが、そのことを分かっていない「ごんぞうおじ」は、なんと最後にムシ(!)になってしまいます。このムシがまた、実に小さく描かれているのですが、律儀に「ごんぞうおじ」の顔(だいぶかわいくなっています^^;)が付いています。ムシになっても下駄にしがみついているのは、いかにも「ごんぞうおじ」。結局、風に飛ばされてしまいます。後日談として村にはそののち小さな「ごんぞうむし」がたくさんわいて出てくるとのことで、その絵も描かれているのですが、村の子どもたちに遊ばれています。「ごんぞうおじ」、ちょっとかわいそうかも。
それはともかく、うちの子どもが気になっていたのは、「ごんぞうおじ」が出した小判の山のゆくえ。「むすこ」がもらったんじゃないかと言っていましたが、どうだろうねえ。
▼香山美子 文/長新太 画『たからげた』教育画劇、1998年