この絵本、やはり文と絵の相乗作用がすばらしい。うちの子どもは今日は、ゴリラの背中の絵に注目していました。黒く大きくりっぱな背中です。ラストページの「ねえ、みんなも みんなの すきになれる 世界を つくってみない?」という呼びかけには、「好きになれる世界っていったら、それは恐竜の世界でしょう。だって、恐竜に会えるから」なんて言っていました。うーん、そうか。ただ、「世界」という言葉の意味がまだよく分からなかったようです。いや、お父さんもよく分かっていないんだけどね。とはいえ、この絵本は、具体的な何かではなく、「世界」そのもの、より正確には徹頭徹尾ことばとともにある「世界」を目の前に差し出してくれる、そんな気がしました。
▼長田弘/あべ弘士『あいうえお、だよ』角川春樹事務所、2004年