思ったのですが、この物語には、ある意味で、少年の成長と通過儀礼を描いているようなところがあります。自分なかの「ドラゴン」を最終的になくしていく、そんなイニシエーションが、あの「ドラゴンマシーン」に乗っての旅だったんじゃないか。「ドラゴン」たちがいたずらばかりしていること、幻想的で実に美しい「ドラゴンマシーン」の飛翔、そして「ドラゴン」がいなくなると同時に自分もからっぽになり「ドラゴンマシーン」の上で地平線を呆然とみている「ジョージ」、家に戻ってからのお祝い、……こうした一連の画面からは、少年が何かを捨てて成長する過程が示されているようにも思えます。とともに、一匹のイヌ(?)をプレゼントされたラストページは、捨て去りながらしかし実は私たちのそばには変わらず「ドラゴン」がいることを暗示しているようで、少し楽しくなります。それにしても、「ジョージ」が作る「ドラゴンマシーン」、かっこいいんだな、これが。うちの子どもは今日は「ドラゴン」たちの足跡に注目していました。意外なところにも付いていました。
▼ヘレン・ウォード 作/ウエイン・アンダースン 絵/岡田淳 訳『ドラゴンマシーン』BL出版、2004年