この絵本は、うちの子どもが小さいときから、もう何十回も読んでいます。「きりふりやまに ひのでを みにいく」「ルネくん」とロボットの「ランスロット」、途中で深い霧に迷い、「ゴンゴ族」と出会います。向こうがまったく見えない霧のなかから現れ、そしてまた消えていく、深い霧というシチュエーションだからこその不思議な邂逅がよいです。「ゴンゴ族」のカーニバルの描写は、ほとんどモノクロのような彩色、そのあとの「きりふりやま」での日の出の場面は鮮やかな黄と緑で描かれており、色の移り変わりがたいへん美しいです。
▼たむらしげる『きりのカーニバル』「こどものとも」1995年12月号(通巻477号)、福音館書店、1995年