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マレーク・ベロニカ『ブルンミのたんじょうび』

 タイトルの通り、「ブルンミ」の誕生日をみんなでお祝いする物語……。

 のはずなんですが、でも、読みようによっては、少しブラックな趣きがあります。だってさー、なんで、そんなに「ひみつ」「ひみつ」なのよ? どうして「ブルンミ」の鼻先で「バターン」とドアを閉めちゃうわけよ? 「ブルンミ」を泣かすなよー!

 ラストの一文では、「ブルンミ」はこんなふうに言っています。

そして ブルンミの たんじょうびを みんなでたのしく すごしました。
ああ なんてすてきなんだろう! ありがとう アンニパンニ!――

 けなげな「ブルンミ」……。でも、「ブルンミ」、君はだまされていると思うよ……(なんちゃって^^;)。

 いやまあ、マレーク・ベロニカさんの絵は明るい色彩とセンスのよい造形で、とてもおしゃれですし、ハッピーエンドであることは間違いないのですが、少々意地悪な物語にも読めてしまうのです。

 やっぱり考えすぎでしょうか? こちらの性格が歪んでいるからかなあ。素直に読めない自分が悪いのかしらん。

 とはいえ、ほんの少しの翳りがあるところも、マレーク・ベロニカさんの絵本の魅力なのかもしれないなと思いました(ちょっと無理があるかな?)。

▼マレーク・ベロニカ/羽仁協子 訳『ブルンミのたんじょうび』風濤社、2003年、[印刷:吉原印刷株式会社、製本:榎本製本株式会社、装幀・組版:文京図案室]

マレーク・ベロニカ『おやすみ、アンニパンニ!』

 主人公の女の子「アンニパンニ」とクマの「ブルンミ」がイチゴ摘みの帰りに拾った「こねこ」にご飯をあげお風呂に入って、一緒に寝るという物語。小さな子でも十分ついていけます。途中で「こねこ」の居所が分からなくなるというひねりがあって、これがワンポイント。お話に引き込まれます。

 とにかく、とてもお洒落な絵本。私はオシャレとはほとんど無縁な生活を送っていますが、そんな私から見ても、色といい線といい、実に品がよいです。子どもより大人の方が魅了されてしまうかもしれません。

 原書“Jo Ejszakat, Annipanni”(文字の表記は異なります)は1973年発行のようですが、まったく古びておらず、新刊本といってもおかしくないほどです。色彩も造形も、またストーリーも、時代に左右されない生命力を持っていると思います。

 クマの「ブルンミ」がいいですね。どうも寝相が悪いようで、いつの間にか逆に寝ているのが可愛い。うちの子どもにそっくりです(^^;)。

▼マレーク・ベロニカ/羽仁協子 訳『おやすみ、アンニパンニ!』風濤社、2001年、[印刷:吉原印刷株式会社、製本:榎本製本株式会社、装丁・組版:文京図案堂]