内田麟太郎/竹内通雅『へいき へいき』

 これは面白い! 天下に恐いものなしのオオカミと子分のイタチが入り込んだのは、いろんな恐い「き」が生えている山だったというお話。

 いったいどんな「き」だったのかは、読んでのお楽しみ。かなり「き」ています。ページをめくるたびに、思わず吹き出し、そして、へなへなと脱力してしまう感じ。うちの子どもも、だいぶ、うけていました。

 内田麟太郎さんのテンポのよい軽妙な文はもちろんのこと、竹内通雅さんの絵がまたすごい。一種の言葉遊びをどうやって絵で表現するかがポイントです。力のこもったど迫力の描写。しかも、よーく見ると、ページによってはいろいろ遊びがあって、笑えます。

 一つ面白いなと思ったのは、冒頭に登場する、しゃがれ声。「オオカミ」と「イタチ」は、しゃがれ声のからかいに強がって山に入っていくわけですが、このしゃがれ声が誰の声だったのか、文中に説明はありません。しかし、扉、ラストの3ページ、また奥付に付けられた絵を合わせて考えると、声の主がなんとなく分かる気がします。背後のストーリーが浮かび上がってくるような感じですね。なかなか楽しい趣向です。

 それはともかく、この絵本では、最後の最後に、本当に恐ろしい「き」が登場します。見開き2ページにどどーんと描かれた絵は、ちょっとすごいですよ。もちろん、あくまで絵本の表現なのですが、うちの子どもも、この2ページだけは少し恐かったみたいです。

▼内田麟太郎 文/竹内通雅 絵『へいき へいき』講談社、2005年、[印刷所:日本写真印刷株式会社、製本所:大村製本株式会社]

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