タグ別アーカイブ: 三木卓

アーノルド・ローベル『ふくろうくん』

 一人暮らし(?)の「ふくろう」の5つのお話。どれも、どことなく孤独と寂しさが奥底にあるように感じるのですが、と同時に、軽やかなユーモアに包まれています。くすくすと笑いたくなってくる感覚です。

 それが一番表れているのは、なんといっても「なみだの おちゃ」。ずっと悲しいことばかりが列挙されていくのですが、最後の2ページでそれが一気に反転します。いや、というか、そもそも最初のページからして違いますね。「ふくろう」曰く「さあて、ぼく はじめるよ」。なんの屈託もなく、快活そのものです。

 そして、ラスト1ページの開放感。悲しいことはたくさんあるし、とことん悲しいのだけれど、でも、それに囚われることはないんだな。そういう気分になります。

 うちの子どもは、やはり「なみだの おちゃ」の味が気になるようでした。話が終わる前に、ちゃんと予想していました。うちの子ども、涙の味をどんなふうに感じてきたのかな。それが、「なみだの おちゃ」のように「とても いいもん」になっているといいなと思います。

 あと、「おつきさま」のお話も、なんだか子どもの頃のことを思い出しました。夜の帰り道、いつまでも付いてくる月に、たしかに友情のようなものを感じていたと思います。

 絵は、「ふくろう」の大きく見開かれた目が印象的。一人ぽつんとたたずんでいる、そんな雰囲気があります。

 原書”Owl at Home”の刊行は1975年。

▼アーノルド・ローベル/三木卓 訳『ふくろうくん』文化出版局、1976年、[印刷:文化カラー印刷、製本:大口製本]