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井上洋介『とぶひ』

 次から次へといろんなものが飛んでいく絵本。ネズミやイヌやナマズといった生き物から、看板人形や銅像や自転車といった無生物まで、羽が生えてひらひらと空に上っていきます。

 とくに可笑しいのが、街の人が手に持つ荷物に羽が生えているところ。この荷物、スーパーのレジ袋か、あるいはゴミの入ったビニール袋のように見えます。それが羽をはばたかせ、人がふわりと浮かんでいるのです。うーむ、すごい。

 一人の男の子が一応、主人公(?)になり、どのページにも登場します。いろんなものが飛んでいる様子を男の子は、ニコニコ楽しそうに見ています。飛んでいる動物たちもうれしそうな表情。

 のびやかな筆致は、一気に上昇するというより、地上数メートルをふわふわ浮かぶような独特の浮遊感。色合いは、黄色や茶色、グレーが基本です。くすんだ彩色が、なんとなく懐かしい雰囲気です。そういえば、登場する人びとの服装も、少し地味で歴史の風合いを感じさせるように思います。

 うちの子どもは、とぶ「ハンバーグ」に吹き出していました(^^;)。紙飛行機が飛ぶ画面には、「紙飛行機は最初から飛ぶよねえ」と突っ込み。

 また、読み終わったあとにはタイトルの「とぶひ」を「とびひ!?」と言い換えて、一人で受けていました。「とびひ」というのは、子どもがよくかかる皮膚炎の一種です。曰く「みんな、とびひになると、おかしいねえ」(^^;)。いやはや、うちの子ども、こういう駄洒落のセンスはたいしたものです(親ばか)。

▼井上洋介『とぶひ』学習研究社、2004年(初出:月刊保育絵本『おはなしブーカ』2003年12月号)、[編集人:遠田潔、企画編集:木村真・宮崎励・井出香代、編集:トムズボックス]