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スズキコージ『おがわのおとを きいていました』

 主人公の女の子、「かなめんちゃん」が裏庭の小川を飛び越えるというお話。この小川、以前飛び越えようとして落っこちてしまったのです。キリギリスや殿様ガエル、フナたちが応援したり、からかったりします。

 小川を飛び越えるのは、大人にとっては、なんてこともないでしょうが、子どもにとっては大変な覚悟がいります。小川を前にした「かなめんちゃん」の様子からは、その緊張が伝わってきます。大きく息を吸って、気持ちを高めて、ついにジャンプ! このあとのページが一種のフェイントになっていて、おもしろい。そして、喜びと安堵を表しているタイトルも、印象的です。

 絵は、スズキコージさんらしい荒々しい筆致。全体にわたって明るい緑が彩色されています。草木はもちろん、小川も緑。

 冒頭の文に記されているのですが、物語の舞台は「はるか はるか きたの くに」。明るい緑は、北国の短い夏、しかし燃え立つような夏を表しているのかもしれません。

▼スズキコージ『おがわのおとを きいていました』学習研究社、2005年(初出:月刊保育絵本<おはなしプーカ>2003年8月号『おがわのおとを きいていました』)、[編集人:遠田潔、企画編集:木村真・宮崎励・井出香代、編集:トムズボックス、印刷所:図書印刷株式会社]