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絵本学会のウェブサイト

 1997年設立の新しい学会。そのウェブサイトです。

 この学会は「絵本の表現の分野により立脚した、絵本学という独自の学問領域の確立」を目的にしているとのことで、設立趣旨では次のように書かれています。

今日、絵本表現の場は想像以上に広がっています。考え方や対象の定め方も様々なら、表現性も実に多様です。多様な表現の世界を持つこれらの絵本を、単純な概念で分類することには無理があります。しかし、絵本の形式がそれほど単純でないことが十分承知されながら、一般的には、教育的意味や文学的意味をもって語られることが多いのが実状です。
[中略]
絵本を固定した一つの表現形式とみなすだけでなく、表現の位相を把握し解明していくための研究が、新しい視野を拓くものと期待されるのです。それは、絵本学とも呼ぶべきものであり、絵本というメディアを介して研究される新たな学問領域だといえるでしょう。
[後略]

 なんだか難しそうですが、要は、たとえば子どものためのもの・教育のためのものといったふうに単純化せずに、絵本の持つ多様性と深みをそのまま丸ごと受け止めよう、ということでしょう。とても真っ当な考え方じゃないかなと思います。

 ウェブサイトでは、年に一度の絵本学会大会や絵本フォーラムの内容が非常に詳しく掲載されており、かなり充実しています。

 たとえば、どんなことがテーマになっているかというと、

  • 絵本と絵本美術館(2003年度大会)
  • 絵本はコラボレーションの場(2002年度大会)
  • 絵本とおとな・絵本とこども(2001年度大会)
  • 再度、昔話絵本を考える(絵本フォーラム2002)
  • 絵本とことば(絵本フォーラム2001)
  • こども、絵本、いのち(絵本フォーラム2000)

 大会やフォーラムでは、研究発表に加えて、ワークショップ(2003年度はからくり玩具作りやモビール作り)や作品発表などもあり、おもしろそうです。また、研究者だけでなく、絵本作家やデザイナー、教員や学芸員や司書など、いろんな分野の人が参加されています。

 あと、絵本学会では『ブックエンド』という雑誌(機関誌)を発行していて、その目次も見ることができます。

 2002年の創刊号では、宇野亜喜良さんの絵本「ぼくはへいたろう」が巻頭カラーで載っていたり、島田ゆかさんや きたむらさとしさんのエッセイもあって、これも興味深いです。機会があったら、ぜひ一度、読んでみたいです。

 他には、講演・出版・イベントなどの情報が掲載される「絵本学会伝言板」、会員や学校・美術館・図書館などのリンク集もありました。

 このウェブサイト、いろいろ有用な情報が掲載されていて刺激になります。学会とはいっても、あまりかまえなくてよいように思いました。