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松谷みよ子/中谷千代子『ちいさいモモちゃん1 おばけとモモちゃん』

 2冊目。 おばけがほしくて仕方がない「モモちゃん」、10円玉を握りしめ、おばけを買いに出かけます。これはおもしろい! おばけを買うという発想がまずすごいです。究極の消費社会(?)。しかも、「モモちゃん」はぜんぜん、おばけを怖がらず、おばけとのやりとりがおかしいです。

 巻末の説明によると、この絵本は昭和47年(1972年)に発行されたものを元に、有山達也さんがブックデザインして復刻したものだそうです。他にも数冊、復刻されているようなので、今度また読んでみたいと思います。この絵本、おすすめです。

▼松谷みよ子 文/中谷千代子 絵『復刻版 ちいさいモモちゃん1 おばけとモモちゃん』講談社、2003年

絵本の著作権

 以下は、Yahoo! ニュースに出ていました。もともとは共同通信社から発信された記事です。

定番絵本の作者が提訴へ 「ページ構成など酷似」

 ロングセラーの赤ちゃん絵本「いない いない ばあ」(童心社)の作者松谷みよ子さん(78)と瀬川康男さん(71)が、自らが作り出した表現方法を学習研究社(東京都大田区)の絵本で無断で使われ、著作権を侵害されたとして、同社と作者に、計約2100万円の損害賠償などを求める訴訟を25日、東京地裁に起こす。
[以下略]

 二つの絵本の写真(見開き2ページ)も掲載されています。たしかによく似ています。

 著作権の専門的な議論はよく分かりませんが、注目したいのは、模倣された要素の一つとして「見開き2ページを使って動物などが『いない いない』という動作をし、次の2ページで『ばあ』という動作をする」が挙げられている点。ページのつくりと絵の配置がここでは問題になっていると言えます。

 たしかに絵本のばあい、個々の文や絵のみならず、絵本全体をどのように構成していくかにも、作者の独創性と創造性が発揮されていると思います。そのことは、前の記事で紹介した中川素子さんの『絵本は小さな美術館』でも指摘されていました。この意味での著作権も看過されてはいけないのかもしれませんね。