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松居スーザン/堀川真『ちいさな ごるり』

 「ちいさな ばけものの おとこのこ」「ごるり」が、「かあさん」と話をするなかで「ぼくは何だろう」と自分のことを考えていく物語。羽としっぽがあったり、歌がじょうずだったり、いたずらしたり、あるいはいろんなモノを持っていたり……。いろいろなかたちで、自分が何なのかが語られていきます。そして、自分が自分でなかったなら「かあさん」は自分のことをどうするのだろうという疑問も。このときの画面は主に藍色で描かれ、自分が「ごるり」ではなく「クシピーのにんぎょう」だったらと想像している「ごるり」は不安そう。「ごるり」はそのうち本当に「クシピーのにんぎょう」になってしまうのですが、最後はハッピーエンド。なんとなく哲学的ないし心理学的な含意も読み取れそうです。ただ、まだ十分に煮詰められていないというか、少し中途半端な印象を受けました。でもまあ、「ぼくは何だろう」という疑問は子どもにとっては割と身近かもしれませんね。
▼松居スーザン 文/堀川真 絵『ちいさな ごるり』童心社、1996年