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川田健/藪内正幸/今泉吉典『しっぽのはたらき』

 動物のしっぽのはたらきを扱った科学絵本。表紙をよくみると、右すみからにゅーっと何かしっぽのようなものが伸びてきて果物を取ろうとしていることが分かります。このしっぽの主はクモザル。表紙の絵はそのまま右に続いて、本文の最初のページにつながり、そこにクモザルの説明があります。

 この表紙の色遣いと描写が、なかなか工夫されていると思いました。タイトルは鮮やかな赤で右上に大きく配置。紙面のほぼ真ん中に、これまた鮮やかな黄色の花。その左隣りには、これも目立つ色合いの鳥が描かれています。これらに比して、果物を取ろうとしているしっぽは、かなり地味な彩色。こっそり果物をねらっているといった感じでしょうか。そして、鳥の視線は果物としっぽに向けられているんですね。「あ、こんなところに!」という発見の楽しみがあります。

 間にめくりをはさんで2ページにわたって絵が続くというつくりは、本文でも同様。めくる前のページに動物のしっぽと身体の一部だけが描かれ、「なんのしっぽでしょう?」と質問。めくった後のページに、しっぽに続く身体の絵と説明があります。なかなかおもしろい仕掛けです。うちの子どもと一緒に、しっぽの主の当てっこをして楽しみました。うちの子どもはだいたい正解していましたが、ガラガラヘビははじめて見たようです。

 しっぽの説明も、うちの子どもは興味深く聞いていました。そんなにたくさんの動物が取り上げられているわけではありませんが、たとえばキツネのしっぽのはたらきなどは、私もはじめて知りました。本文最後の次の一文には納得。

どうぶつの くらしかたの ちがいによって、しっぽの
はたらきが ちがっているのです。

 ところで、最初のクモザルのところで、うちの子どもが発見したのは、クモザルの足の指が手の指と同じようになっていること。親指と人差し指の間が開いていて、足でなんでもつかめるんですね。それにしても、うちの子ども、よく見ているなあと感心(親ばか)。

 読み終わったとで、「どんなしっぽだったらほしい?」とうちの子どもに聞いてみると、クモザルのしっぽがいいそうです(^^;)。

▼川田健 文/藪内正幸 絵/今泉吉典 監修『しっぽのはたらき』福音館書店、1969年(「かがくのとも傑作集」としての発行は1972年)