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瀬川康男『ぼうし』

 なんといったらいいのか、すべてが圧倒的に構築された絵本。何一つとしてゆるがせにしないで徹底的に作り込まれているように感じます。カラーとモノクロ(?)の組み合わせの妙、場面転換のリズム、独自な味わいの字体、幾何学化され抽象化された輪郭、画面に広がっていく不思議な文様、……実に美しい。私がえらそうに言えることではありませんが、まさに一級の芸術作品と思います。しかも、それだけではありません。なおかつユーモラスなところがまたすごい! この絵本、おすすめです。

▼瀬川康男『ぼうし』福音館書店、1987年

絵本の著作権

 以下は、Yahoo! ニュースに出ていました。もともとは共同通信社から発信された記事です。

定番絵本の作者が提訴へ 「ページ構成など酷似」

 ロングセラーの赤ちゃん絵本「いない いない ばあ」(童心社)の作者松谷みよ子さん(78)と瀬川康男さん(71)が、自らが作り出した表現方法を学習研究社(東京都大田区)の絵本で無断で使われ、著作権を侵害されたとして、同社と作者に、計約2100万円の損害賠償などを求める訴訟を25日、東京地裁に起こす。
[以下略]

 二つの絵本の写真(見開き2ページ)も掲載されています。たしかによく似ています。

 著作権の専門的な議論はよく分かりませんが、注目したいのは、模倣された要素の一つとして「見開き2ページを使って動物などが『いない いない』という動作をし、次の2ページで『ばあ』という動作をする」が挙げられている点。ページのつくりと絵の配置がここでは問題になっていると言えます。

 たしかに絵本のばあい、個々の文や絵のみならず、絵本全体をどのように構成していくかにも、作者の独創性と創造性が発揮されていると思います。そのことは、前の記事で紹介した中川素子さんの『絵本は小さな美術館』でも指摘されていました。この意味での著作権も看過されてはいけないのかもしれませんね。