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パット・ハッチンス『ぎんいろのクリスマスツリー』

 クリスマスを前に「りす」は自分の木を一生懸命飾り付けるのですが、なかなか気に入りません。そのうち夜になると、木の一番上の枝の真上に美しい銀色の星が出て、輝くクリスマスツリーになります。「りす」は大喜び。ところが、次の日、起きてみると、もう銀色の星はありません。いったい誰が取ってしまったのだろうと探しに出かける物語。

 「りす」は「あひる」「ねずみ」「きつね」「うさぎ」に出会うのですが、みんな何かを隠していて、あやしいなあと疑います。もちろん、誰も銀色の星を取っているわけはありません。ラストはすべての疑問が解けて、楽しいクリスマス・イブ。みんなでお祝いし、「りす」の銀色のクリスマスツリーも明るく輝きます。

 動物たちの毛並みは、ハッチンスさん独特の様式化された線描き。そして、なにより「りす」のクリスマスツリーが色鮮やかで美しいです。オレンジと緑と黄色で飾られ、上空には白く輝く大きな星。

 また、夜の描写が非常におもしろいです。画面を黒くあるいは暗くするのではなく、もくもくとわき上がる雲のような模様を青で描き、それによって辺りが見えなくなったことを表しています。なかなか新鮮な表現。

 そして青くなった画面のなかで、まるで舞台のカーテンを開くかのようにして、銀色のクリスマスツリーが現れます。じっさい物語のラストで青く彩色された部分は雲を表しており、雪が降りはじめると雲が割れて銀色の星が光り輝くという描写。「りす」はささやくように「クリスマス おめでとう みなさん!」と言います。この「ささやくように」というのが画面にとても合っていると思いました。いわばクリスマスの奇蹟。

 原書"The Silver Christmas Tree"の刊行は1974年。この絵本、おすすめです。

▼パット・ハッチンス/渡辺茂男 訳『ぎんいろのクリスマスツリー』偕成社、1975年

パット・ハッチンス『せかい一わるいかいじゅう』

 生まれたばかりの赤ちゃんかいじゅう「ビリー」とお姉さんの「ヘイゼル」。みんなが「ビリー」をかまうので、「ヘイゼル」はおもしろくありません。おかしいのは、どちらが「せかい一わるいかいじゅう」かを競ってるところ。「かいじゅう」にとっては、「かわいい」とか「えらい」ではなく、「わるい」が大事なんですね。価値の逆転がおもしろいです。

▼パット・ハッチンス/乾 侑美子 訳『せかい一わるいかいじゅう』偕成社、1990年

パット・ハッチンス『びっくりパーティー』

 「あしたうちへあつまってね」とウサギがフクロウを誘うのですが、フクロウは聞き間違えてしまいます。他の動物たちにもどんどん間違って伝わっていき……といった物語。いわば伝言ゲーム。相手の言ったことを誰もちゃんと聞いてなくて、おかしいです。あと、この絵本では、動物たちの毛なみの描写が様式化されていて、なかなか美しいです。原書の刊行は1969年。

▼パット・ハッチンス/舟崎克彦 訳『びっくりパーティー』ポプラ社、1977年。