カテゴリー別アーカイブ: 絵本の周辺

アートンの期間限定「絵本カフェ」

 六本木経済新聞 – 広域六本木圏のビジネス&カルチャーニュース、1月19日付けの記事、ニュース – アートン、西麻布に期間限定の「絵本カフェ」

 出版社、アートンが、西麻布の韓国茶菜房「三丁目カフェ・スーペ」で、期間限定の「絵本カフェ」を開いたそうです。「三丁目カフェ・スーペ」が店舗拡張を予定しており、その工事開始までとのこと。韓国やインドの絵本が並べられ、お絵かきスペースもあるとのこと。写真も付いていましたが、子どもも一緒に入れそうな感じです。

 アートンのサイトを見てみたのですが、とくに関連情報は載っていないようでした。韓国茶菜房「三丁目カフェ・スーペ」の紹介のセクションは、韓国茶菜房三丁目カフェ『スーペ』韓国伝統茶・お菓子・お粥・お酒・小夜食です。

 絵本カフェ、最近かなり流行っているようですね。以前のエントリー、「絵本を知る: 「丸の内ブックカフェ」」でも、丸の内の期間限定の絵本カフェのことを書きましたが、期間限定ではない通常の絵本カフェも全国各地にあるようです。ウェブサイトを開設しているカフェも多いようで、検索をかけると、結構あります。そのうち、(時間ができたら)簡単なリンク集を作ってみたいと思います。

絵本の復刊の動き

 読売新聞、1月3日付けの記事、懐かしの絵本 続々復刊 : とれたて!ミックスニュース : ニュース : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)。1950年代から70年代にかけて出版された絵本や児童書の復刊が続いているそうです。

 筆頭に挙げられているのは、『ちびくろ・さんぼ』(瑞雲社)。これは、かなり話題になりましたね。これまでに30万部発行したとのことで、すごいです。他にも、学研、光文社、集英社が絵本や児童書を復刊しているそうです。

 復刊ドットコムの担当者の方の話もありましたが、全体の復刊リクエストのうち1割近くが児童書分野。当然ながら、子どもというよりは親世代からのリクエストのようです。

 なんとなくですが、絵本や児童文学は、記憶の奥底に深く刻まれるものなのかなと思います。もう一度読んでみたいという気持ちの強さが違うのかもしれません。たとえば、bk1はてなこどもの本のカテゴリーの質問一覧を見ても、子どもの頃に読んだ絵本や児童文学のタイトルを教えてほしいという質問が並んでいます。こんなふうに、ある程度確かなニーズがあるから、復刊がビジネスとして成り立っていると言えるかもしれません。

 もう一つ思うのは、世代による違いです。こういう絵本や児童文学の記憶がきちんと存在するのは、もしかすると、戦後のある一定の時期以降のことなのかもしれません。いや、出版の歴史をきちんと調べたわけではないので、よくは分かりませんが……。

 世代ということに関連しますが、上記の記事での赤木かん子さんの指摘は、なるほどなと思いました。赤木さんは復刊ブームを「ノスタルジー出版」と評し、次のように言われています。

ただ子どもや孫に与えても、自分と同じように感動するとは限りません。大人が楽しむ一種の古典文学として支持されていくでしょう」

 自分が感動したからといって、必ずしも子どもが感動するわけではない……。たしかに、そうですね。絵本や児童文学の記憶はおそらく非常に個人的なものではないかと思います。だから、簡単に共有できるものはないでしょう。だから、復刊絵本は、大人のための絵本の一パターンとして定着するということ。

 もちろん、世代を超えて受け継がれていく絵本も確実に存在するわけで、親が楽しんだ絵本を子どもも楽しむこともあります。ただ、押しつけにならないように気を付ける必要はあるかなと思いました。

宮城県美術館の絵本原画コレクション

 先のエントリー、絵本を知る: 「こどものとも」の絵本展が新潟県立万代島美術館で開催、で紹介した『こどものとも』の原画展ですが、サイトの「こどものとも」の絵本展に掲載されている情報をよく見ると、多くの原画が宮城県美術館所蔵となっていました。

 そこで、宮城県美術館のサイト、宮城県美術館をのぞいてみると、今度、彫刻家の佐藤忠良さんの絵本原画展が開催されるようです。サイトの該当箇所は、最新ニュース – 展示です。「彫刻家が描く 佐藤忠良の絵本原画」と銘打たれ、会期は2006年1月21日(土)から3月26日(日)まで。展示されるのは、14の作品の208点。有名な『おおきなかぶ』も含まれています。これらの原画もすべて、宮城県美術館所蔵だそうです。

 宮城県美術館は、どうやら、かなりの数の絵本原画を所蔵しているようです。サイトの所蔵作品の特色のページによると、福音館書店『こどものとも』の原画を中心に204作品(2890枚)の絵本原画コレクションがあるとのこと。で、どうも、これらはすべて寄贈のようなんですね。

 美術情報サイト eArt-美術館展覧会情報【宮城県美術館】によると、1998年に「絵本原画の世界「こどものとも」の絵画表現1956-1997」を開催し、それを契機として、177タイトル、2800点余りの絵本原画の寄贈を受けたとあります。2002年に開催された「はじめての美術 絵本原画の世界」に出品された絵本作家さんのリストも載っていましたが、そうそうたる顔ぶれ。同じく、美術情報サイト eArt-美術館展覧会情報【宮城県美術館】をみると、長新太さんの代表作も初期から最近まで数多く所蔵し、2004年には「おしゃべりな絵 長新太展」を開催。うーむ、これはすごい。

 それで、宮城県美術館がこのように絵本原画をコレクションしている背景について、少しネットで検索してみました。すると、国際子ども図書館のサイトの国際子ども図書館:これからの国際子ども図書館、「国際子ども図書館の図書館奉仕の拡充に関する調査会」の第三回議事要旨第3 回国際子ども図書館の図書館奉仕の拡充に関する調査会 議事録(PDFファイル)に関連情報を見つけました。

 この「国際子ども図書館の図書館奉仕の拡充に関する調査会」の説明は、サイトの国際子ども図書館:これからの国際子ども図書館 国際子ども図書館の図書館奉仕の拡充に関する調査会とはに載っています。国立国会図書館が国際子ども図書館の開館に向けて当初策定した諸計画のなかで、まだ十分に展開できていないサービスがあり、しかも現行の国際子ども図書館の書庫は平成24年前後には満杯になってしまうそうです。そのため、施設の増設も考慮しながら今後の図書館サービスの方向性について調査審議するために設置されたとのこと。国際子ども図書館:これからの国際子ども図書館 調査会委員名簿を見ると、会長代理には松居直さんが就任されています。

 それで、平成16年9月12日に第一回の会議が開かれ、平成17年3月16日の第3回では、絵本の原画の取り扱いに関連して、松居直さんから「宮城県美術館 絵本原画コレクションの現状と課題」というレポートが提示されたとのこと。(おそらく)松居さん自身の報告とそれをめぐる議論が議事録に残されています。全12ページのうち6ページ目からです。

 ざっと読んでみたのですが、きわめて興味深く、また重要な問題がたくさん指摘されています。答申の文言を作っていくという議論の議事録ではありますが、そのためにむしろ、絵本の原画をめぐってクリティカルな点がかなりはっきり出されている気がします。これはぜひ一読をおすすめします。

 とりあえず、宮城県美術館の絵本原画コレクションについてだけまとめてみると、コレクションは1998年から本格的に開始。福音館書店では「こどものとも」を発刊した当初、創刊号から原画を残す方針だったそうです。これはきわめて先駆的な取り組みかなと思います。原画倉庫を用意して、そこで保管していたそうですが、すべてを収蔵するのは困難となり、その結果、宮城県美術館に1号から100号までの原画が預けられることになったとのこと。その後も寄贈され、1998年から7年間で8000点に及んでいるそうです。ただ、絵本の原画の保存はたいへんな手間がかかり、宮城県美術館でもかなり苦労されていることが記されていました。

 で、今回ネットで検索して発見した「国際子ども図書館の図書館奉仕の拡充に関する調査会」の議事録と答申、非常に重要な資料だと思いました。あらためて全体に目を通してみたいと思います。それにしても、こういう資料をPDFファイルでネットに公開しているのは素晴らしいですね。

「こどものとも」の絵本展が新潟県立万代島美術館で開催

 こどものとも50周年記念ブログ: 福音館書店から(第24回)に書かれていましたが、『こどものとも』の原画展、『「こどものとも」の絵本展』が新潟県立万代島美術館にて、2005年12月23日(金)から2006年2月12日(日)まで開催されるそうです。12月23日スタートですから、いわば絵本のクリスマス・プレゼント。このスケジュール、なかなか粋です。

 こどものとも50周年記念ブログの記事によると、山本忠敬さんのアトリエの一部を再現して展示するそうです。絵本が生まれてくる創作の現場を少しだけ見ることができるわけですね。これは興味深い。

 平凡社の別冊太陽で3巻まで刊行されている絵本作家インタビュー集、『絵本の作家たち』では、絵本作家のみなさんのアトリエの写真が見開き2ページで掲載されているのですが、どれも非常に個性的で、おもしろいです。今回の展覧会では、それを実地に見学することができるわけです。

 新潟県立万代美術館のサイトは、新潟県立万代島美術館。美術館の概要のところに書かれていますが、信濃川河口の万代島地区に立地する複合施設「朱鷺メッセ」のなか、万代島ビル5階のフロアが美術館になっているそうです。この万代島ビルは、140メートル31階、日本海側では一番のノッポビル。

 この美術館のモチーフは、1945年以降の「現代の美術」の収集と紹介。そしてアジア諸国の美術の紹介です。

 複合施設のなかに現代美術館があるというのは、けっこう流行なのかもしれませんね。以前行ったことがある、熊本市現代美術館(サイトは熊本市現代美術館)もそんな感じでした。

 それはともかく、今回の原画展の紹介ページは、「こどものとも」の絵本展。『こどものとも』創刊号『ビップとちょうちょう』、「ぐりとぐら」シリーズ、「ばばばあちゃん」シリーズ、『はじめてのおつかい』、『かばくんのふね』、『三びきのこぶた』、『ぞうくんのあめふりさんぽ』など、全部で260点が展示されるそうです。

 これだけの量の絵本原画にふれられる機会はあまりないんじゃないでしょうか。それも、「こどものとも」です。長く愛されてきた絵本ですから、子どもも大人も一緒に楽しめますね。

 会期中には松居直さんの講演会、美術鑑賞講座にワークショップなどが開かれるとのこと。もちろん、絵本の読み聞かせも行われるようです。

 しかし、いかんせん新潟……。うちからはちょっと遠すぎます。この展覧会、全国を巡回してほしいところです。うちの近くにも来ないかなー。

 

絵本の映画化を少し考えてみる

 先日、「あらしのよるに」シリーズの映画化について書きましたが、そういえば、最近、絵本の映画化が続いているような気がします。去年のクリスマスには、オールスバーグさんの『急行「北極号」』が3Dアニメ化されていますし、今年は同じくオールスバーグさんの『ザスーラ』が『ジュマンジ』に続いてCGばりばりの実写映画化され、現在公開中ですね。

 オールスバーグさんの絵本は、たしかにストーリーや素材は映画向きかなと思います。とくに『ジュマンジ』や『ザスーラ』は、あっと驚く舞台設定とジェットコースターのようなストーリー展開。これを映画にするのも、うなずける気がします。

 でも、『ザスーラ』の予告編をネットで見てみたんですが、やっぱり、もともとの絵本の魅力が消し飛んでしまっているような気がします。オールズバーグさんの絵本は、一見派手そうにみえて、実際に読んでみると、きわめて寡黙なんですね。モノクロで静謐といってよい画面です。これが、映画だとフルカラーのCGになってしまう……。原作絵本が持っていた、静かでありながらも独得のダイナミズムは、失われるように思います。

 考えてみると、絵本と映画というのは、メディアの特性として、相当に違いがあります。もちろん、音や音楽が付くことは一番大きな相違点と言えそうですが、ページを単位にした静止画と、リアルな時間の流れのなかで終始動いている画面の違いは、かなり大きいような気がします。

 絵本の場合には、静止画であるがゆえに、物語のすべての要素を画面に定着させることは不可能です。描かれない部分がたくさんあり、そのため逆に、描かないことによって多くのことを語ることができると思います。読み手の多様なイメージを喚起することで、はじめて完結すると言えるかもしれません。

 ところが、映画の場合には(とくに近年のCGを多用した映画の場合には?)、可能なかぎりすべてをダイレクトに描写することに力点があるような気がします。私たちが実際には見ることのできないものをもCGを使って描くわけです。いわばそのスペクタクルが映画の魅力の一端だと思います。

 もちろん、映画のなかにも、描かないことによって、描写を切りつめることによって、何かを物語る場合も多々あります。でも、絵本の描写の限定性とは比べものにならないでしょう。

 また、ページを単位にしている絵本は、遡ることができますし、進行のスピードも自由に読み手が調節できます。子どもと一緒に読んでいて、ページをめくる手を止めて、あれこれ話したりもできます。でも、映画では無理です。物語るスピードは、通常、映画それ自体によって定められ、受け手がそれを調節するのはかなり困難です。むしろ、受け手がコントロールできないところに、映画の独得の魅力があるような気がします。

 こんなふうに考えてみると、絵本を映画化するのは、いろいろと難しい面があるのかなと思います。絵本と映画は、メディアとしてまったく違った物質で出来ていると言っていいかもしれません。

 まあ、考えすぎかもしれませんが、なんとなく感じたことを書いてみました。また機会があったら、絵本と映画、少し突っ込んで考えてみたいと思います。

 それはともかく、『ザスーラ』。私が一番気になるのは、ラストの扱いです。原作絵本の、あの切ない結末が映画ではどう描かれるのか。あまり見たいとは思わないのですが、ちょっとだけ気になります。

映画『あらしのよるに』が公開されたそうです

 映画の『あらしのよるに』が今日(12月10日)から公開だそうです。公式ホームページは映画「あらしのよるに」オフィシャルサイト:: 映画「あらしのよるに」オフィシャルブログ ::まであります。MovieWalker には木村裕一さんのインタビューも掲載されていました。MovieWalker レポート 【単独インタビュー】人気絵本「あらしのよるに」が遂に映画化!原作・脚本を手掛けたきむらゆいちが、作品の面白さを語る

 インタビューでも語られていますが、今回の映画は、木村さん自身が脚本も手がけられたとのこと。木村さんにとってははじめての映画脚本だそうです。『あらしのよるに』はファミレスで書いていたという裏話もあります。このあたりについては、公式サイトにもインタビューが掲載されていました。MovieWalkerのインタビューから一部を引用します。

だから、10年かけて描いてきた7巻のお話を一度全部壊して、大事な要素を拾い集める作業をしました。その結果、子供が読んだらオオカミとヤギのお話でも、大人が読んだら民族の違いの話とか、戦争の話とか、恋愛の話にも解釈できる、そういういろんな見方ができるところが、この作品の面白さだと気付いたんです。

 なるほどなあと思いました。たしかに、「あらしのよるに」のシリーズには多面的な要素があるように思います。

 でも、正直言って、私はこの映画、あまり興味がわいてきません。なぜなら、キャラクター造形や絵柄が、原作のあべさんの絵とは、あまりにもかけ離れているからです。

 「あらしのよるに」シリーズは、絵本だと私は認識しています。もちろん、どちらかといえば文章主体ですし、ストーリーが抜群に面白いのですが、でも、あべさんの描く絵の魅力も非常に重要な要素だと思うのです。省略の効いた禁欲的な線と色、緊張感のある画面構成、とても抑制されているがゆえに逆に多くのことがじんわりと伝わってくるような絵です。

 これに対し、映画の方は、とりあえずネットで見るかぎりでは、原作の絵が持っていたテンションがすっかり抜けてしまっている気がしました。お子様向けといっていいかもしれません。なんだか、ひいてしまいます。

 語弊があるかもしれませんが、今回の映画化では、原作のあべさんの絵はあまり、というか、ほとんど考慮されていないように思います。公式サイトのインタビューをみても、あべさんの絵にふれたものは見あたりません。

 もちろん、あの絵をそのままアニメにすることは不可能でしょうし、公式サイトのインタビューでも杉井ギサブロー監督や木村裕一さんが語っているように、絵本は絵本、映画は映画、別のものと考えればよいのでしょう。

 でもなあ、「あらしのよるに」は、やっぱり、あのあべさんの絵があったからこそだと思うんだけどなあ……。あべさんは今回の映画をどう見られているのかなあ……。

 しかし、こんなことは、映画をちゃんと見てから書け!って感じかもしれませんね。

ポプラ社が小中学生向け文庫を10月に創刊

 NIKKEI NET の8月30日付けの企業ニュース、NIKKEI NET:企業 ニュース:ポプラ社、10月に小中学生向け文庫を創刊。「ポプラポケット文庫」というシリーズを新しく刊行するそうです。これは、「ポプラ社文庫」の後継という位置づけ。

ポプラ社文庫の表紙デザインが「今の小中学生には幼すぎる」(ポプラ社)ことから、大人が持っても違和感のないデザインにする。

 なるほどねえ。うーん、つまり、小中学生だけでなく、大人もターゲットに入っていると理解してよいようです。福音館書店が数年前に福音館文庫を始めましたが、これと同じ路線かなと思います。福音館文庫のサイトは、福音館書店|福音館文庫。左記のサイトにも、子どもだけでなく、「子どもの心をもったすべての人々」を対象していることが記されていました。たしか、福音館文庫が創刊されたときの宣伝のパンフレットも、明らかに大人(とくに若い女性)向きになっていました。

 少しうがった見方かもしれませんが、少子化を考えると、これまで以上に対象者を広げていく必要性が高まっていると言えるかもしれません。また、近年の絵本ブームや児童文学の再評価も、この傾向を後押ししていると思います。出版社にとっては、自社の歴史的蓄積を再活用できるメリットもあるでしょうね。

 ポプラ社のサイトは、ポプラ社。サイトにまだ案内は載っていないようです。

外国絵本のキャラクターを商品化する動きが加速

 産経新聞、7月27日付けの記事、Sankei Web 産経夕刊 【暮らしと経済】いま、はやりもの 外国絵本キャラクター(07/27 15:00)。リードを引用します。

外国の子供向け絵本に登場するキャラクターを商品化する動きが加速している。豊かな色彩や物語のおもしろさに裏打ちされ、子供や親世代、さらには若い女性が注目したのがきっかけで、商品群がどんどん拡大している。グッズ人気が絵本の知名度を押し上げるなど相乗効果も手伝い、今後も新しいキャラクター発掘競争が激化しそうだ。

 具体例として挙げられているのは、「リサとガスパール」シリーズ、「ぞうのエルマー」シリーズ、『ラチとらいおん』。「リサとガスパール」の場合、関連商品を扱う企業は36社、バッグに子供服に食器類など、様々な商品が開発されているそうです。「ぞうのエルマー」の商品化も今年中に30社に拡大するとのこと。うーむ、すごいですね。このあたりにも、近年の絵本ブームが現れているような気がします。

 記事にも書かれていますが、こういう商品を購入するのは、もちろん子どもではなく、若い女性。なんとなく、おしゃれで品のよい小物として消費されているような印象を受けるのですが、どんなものでしょう。

 あるいは、これも記事に書かれていますが、子どものときに読んだ絵本のキャラクターを懐かしむということもあるでしょうね。それだけ長期にわたって受け継がれてきた絵本ですから、キャラクターの力に普遍性があると言えるかもしれません。

 純日本製の絵本で、こんなふうに商品化が進んでいるものは何かあるのでしょうか。私はちょっと思い浮かばないのですが、なんとなく海外絵本に片寄った現象のような気もします。

岸田典大さんの絵本パフォーマンス

 クリップしていた記事、札幌テレビ放送のSTVニュースで取り上げられていた「絵本パフォーマー」岸田典大さん。以前、北海民友新聞の記事にも掲載されていました。

 STVニュースでは映像も見ることができます。自作自演、オリジナルの音楽に合わせて絵本を読む、というか「歌う」パフォーマンス。子どもたちから手拍子まで起きています。うーむ、すごい! これ、一回ぜひ実地に見てみたいですね。

 実は今年の8月にわが家のアイドル(?)飯野和好さんによる『ねぎぼうずのあさたろう』浪曲調読み聞かせをじっさいに見ることができたのですが(そのうち必ず記事にする予定です^^;)、それに匹敵するかも。

 検索してみたら岸田さんのウェブサイトもありました。絵本パフォーマー・岸田典大のHP~絵本パフォーマンスは絵本と音楽の新しい世界です。詳しいプロフィールに「絵本パフォーマンス」の説明、今後のライブスケジュール、ライブの感想、BBSや日記(RSS付き)まであります。非常に充実した内容。

 ウェブサイトでの「絵本パフォーマンス」の説明は次の通り。

市販の絵本にオリジナル音楽をつけて、ステージパフォーマンスとして行なっているのが、『絵本パフォーマンス』です。

 なんとなく、飯野和好さんが言われていた「芸能」としての読み語りを思い出しました。これについては絵本を知る: 『飯野和好と絵本』(その3)に書きました。

 ウェブサイトからリンクされているそら色ステーションでも岸田さんのパフォーマンスとインタビューを視聴できます(リンク先のページの一番下にあります)。いや、ほんとにすごい! 歌っているというか、もうラップですね。北海民友新聞の記事だと、なんと『ぐりとぐら』はヒップホップ調(!)になっているそうです。おもしろいなあ。

 思ったのですが、これはもう歌って踊れますね。いや、じっさい踊れそうです。考えてみれば、踊りたくなる絵本ってありますよね。それを実現してしまっている……。絵本の読み聞かせは声に出して聞くというところで体感的なものですが、さらにその先に行けそうです。身体全体で絵本を感じ取る、なんてこともおかしな話ではないでしょう。この点にかかわって、ウェブサイトでは次のように書かれていました。

従来の読み聞かせのイメージとはがらりと変わっているのではないでしょうか。紙芝居的で、ミュージカルチックで、ボードビルっぽい読み聞かせ。

 ページをめくりながら子どもに静かに読んでいくといったいわば読み聞かせに関する私たちの常識を完全に打破していて、なんというか実に痛快です。いや、絵本パフォーマンスの方が実は絵本の本質に迫っているのかもしれません。

 絵本パフォーマンスの絵本LISTのところを見ると、スズキコージさんの『サルビルサ』や『ウシバス』、長谷川集平さんの『トリゴラス』、片山健さんの『どんどん どんどん』に長新太さんの『キャベツくん』、センダックさんの『かいじゅうたちのいるところ』にスタイグさんの『みにくいシュレック』、等々とすごいラインナップ。うーむ、『サルビルサ』と『トリゴラス』と『どんどん どんどん』、これはぜひとも見て聞いて感じてみたいです。

 ライブの様子については、岸田さんのウェブサイトからリンクが張ってあるきっかけ空間 BRICOLAGE – ブリコラージュ –にとても詳しくリポートが掲載されていました。本当に楽しそうです。

五味太郎さんデザインの廣榮堂「元祖きびだんご」

 先日、岡山に出張したですが、岡山駅でおみやげを探していて見つけたのが廣榮堂の「元祖きびだんご」。店員さんの話では、岡山で数ある「きびだんご」のなかでも廣榮堂のが一番とのこと。買って帰って家族みんなで食べました。けっこうおいしかったです。それはともかく、注目はパッケージ。なんと五味太郎さんオリジナルのパッケージデザインなんですね。

 廣榮堂のウェブサイトはこちら。安政3年(1856年)創業とのこと。「元祖きびだんご」のページを見ると、いろんな種類があります。そのすべてが五味さんオリジナルのパッケージ。「桃太郎」の登場人物をモチーフにして、それ以外のキャラクターも加えられています。

 箱のなかに入っている説明書きのしおりや、一つ一つのきびだんごの包み紙にも、五味さんのイラストをあしらったオリジナルのデザイン。昔話の自由で楽しい雰囲気が出ていて、「きびたんご」という商品によく合っていると思います。

 ウェブサイトでは五味太郎さんと廣榮堂代表取締役の武田さんの対談も載っていました。五味太郎さんに依頼した経緯なども触れられています。

 五味太郎さんのお話でなるほどなと思った点が2つ。1つは子どものまわりにあるものこそデザインをよく考えないといけないということ。この点で日本はかなり遅れていていい加減であることが指摘されています。一例として通信簿のデザインが挙げられていました。うーむ、これはたしかにそうですね。子どもにとって、あたかも自分のすべてを数値化してしまうような、とんでもなく乱暴なもの。そのデザインをほんのちょっとでも神経を使って丁寧に作れば、違った世界が開けるんじゃないかということ。

 もう1つは、おとぎ話の同時代性を図るということ。五味さんのデザインでは「桃太郎」のもともとのキャラクター以外も取り入れられているのですが、その理由が説明されています。おとぎ話はそもそも語り継がれるものであり、したがって、そこでは常に新しい要素がミックスされ、いつも同時代であり続ける。逆に言えば、おとぎ話を「名作」として固定化した時点で、それはもはや「おとぎ話」ではなくなっており、その本来のポテンシャルを喪失してしまうということかなと思いました。読み継がれる、語り継がれる、というのは、すでに出来上がったものをそのまま受け継ぐことではなく、常に同時代においてアレンジし再生していくこと。

 なんと、廣榮堂にはこのパッケージに対してファンレターが届いているそうです。すごいですね。