鈴木まもる『鳥の巣』

 世界中のさまざまな鳥の巣を扱った科学絵本。鈴木さんの絵は写実的で、分かりやすく説明がついています。一口に鳥の巣といっても実に多様。はじめて知ったことばかりで、おもしろく読めました。外敵から卵やヒナを守るための驚くべき工夫や、かたちの精緻さ、また美しさには目を見張ります。クモの糸を接着剤にしたり、なんとクモの糸で葉を縫って巣を作る鳥もいるのだそうです。すごいですね。まさに精巧な工芸品です。直径10メートルにもなる巨大な巣、湖の真ん中に作られた巣など、驚きの連続。一番興味深かったのは、世界中のおよそ9000種の鳥のなかには、どこでどんな巣を作ってどんな卵を生みどのようにヒナを育てているのか、まだ分からない鳥が何種類もいるということ。誰にも見つかっていない鳥の巣がいくつもある……何かロマンというか、生き物の世界は奥が深いなあと実感しました。
▼鈴木まもる『鳥の巣』「たくさんのふしぎ」2004年4月号(通巻229号)、福音館書店、2004年

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